フォト・エッセイ 新潟・山古志を想う 会員・朝日 正(群馬支部)
会員・朝日 正(群馬支部)
賽の神の日、朝靄の中で何ごとかを祈る村人。

 新潟県山古志村は新潟県中越地震で甚大な被害を受け、全国的に大きくクローズアップされることとなりました。いまなお復旧の見通しすら立たない状況です。被災地の方々には心からのお見舞いを申し上げます。
 山古志村は、嘗て二十村郷と言われた現在の長岡市、小千谷市、川口町をも含めた地域の中心に位置する美しい村落です。限りなく折り重なる山並みの間に、二十余の村が点在していました。


かけ声に応えて勝負に挑む“角突き”。
 私はこの山村に四十年通い続け、爺ちゃんや婆ちゃん、母ちゃん、娘たちを撮り続けてきました。私の戸籍上の“ふるさと”は群馬ですが、写真の“ふるさと”はまさに雪深い山古志村にあり、私のスナップ写真の原点となった地といえます。私の写した少女が嫁にゆき、結婚式にも呼ばれました。もう子供が三人いると聞いています。当時の少女たちは、皆いいお母ちゃんになっています。
 また、群馬からも大勢のカメラマンが撮影に出かけた「牛の角突き」は、国の指定文化財でもあり、私も以前から取り組んでいたテーマで、昨年ようやく『闘牛いのち』をまとめることができました。その矢先の震災で、いまは感無量の思いです。その牛たちが泥水につかって動けなくなっているテレビ報道を見るにつけ、ほんとうに胸が締め付けられました。
 山古志村を含めた二十村郷の皆さんは、当分たいへんなご苦労を強いられることでしょう。ましてやこの豪雪の季節の生活を思うと一入の感があります。一日も早くあの美しい姿に戻れるよう祈ってやみません。